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このブログは福田文庫の読書と創作と喫茶と煙草……その他諸々に満ちた仮初の輝かしい毎日を書きなぐったブログであります。一つ、お手柔らかにお願い致します……
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danbo.jpg 千原兄弟の「プロペラを止めた、僕の声を聞くために。」というコントを収録したDVDの中にある一つがこの「ダンボ君」である。
 何の気なしに友人が借りてきたのを横目に観ていたのだが、結局は最後までしっかり観ることになったこの作品だが、ネット上での評判は7:3で怖いという意見が強いようだが……


 そうなると私は三割の人間に含まれることになるのだろう。
 この作品を評価する際に、観る者はどういった価値観を持って向き合う必要があるのだろうか?
 この作品のあらすじを簡単に説明すると、画像のダンボ君と教育テレビのお兄さんにも似た扮装の千原ジュニアが舞台に現れる。ジュニアがダンボ君に話しかけるのだが、ダンボ君はバタバタ動くだけで返事は全てジュニアが手元の録音機で再生。つまり一人芝居である。こうしたパターンの決まった返事と人間のコントというものは昔からよくあるし、私は余り好きではなかった。
 だが、ジュニアが人は「どんな時に死ぬのか?」というオハガキの返答をする辺りから徐々に空気が変わっていく。ジュニアはこう言うのだ。大事な人を裏切ったりした時に死ぬ、と。
 これまで気づかなかったのだが、ジュニアの片手には拳銃が握られ、時折ジュニアがダンボールの顔を持ち上げるとダンボ君の中には血の染みた猿轡を口にした男が。
 後はまぁ、パターン音声を上手いこと演出に使った展開でジュニアが猿轡の男を撃って終わる訳だ。

 このコントを見て、私は面白いなぁと素直に思った。これは別に私が歪んだ嗜好を持っているという訳ではなく、純粋にこのコントを評価出来たからだと私は考える。
 コントというものには、ユーモアがある。それがこの「ダンボ君」はブラックユーモアなだけであり、こんな内容は阿刀田高あたりのショートショートみたいなものである。ただこのコントは文字媒体よりも映像向きであるし、阿刀田高がブラックユーモアの作品を書いてもそれほど狂気を感じさせないのに対して、このコントで「何で誰も笑わんのやろ?」と呟くジュニアに、七割の方々が狂気を感じるのはそれはジュニアに演技力があるからだろう。演技力でなければ適材適所といっても良い。

 つまり何が言いたいかと言えば、受け手の側もレベルが高くなくてはその分野の未来は暗いということだ。ジュニアのコントは、今のお笑い芸人のコントの中ではかなり上出来な方なんじゃないかと思う。出来の良いコントと書いて、ふと思い出したものに次長課長のコントがあった。河本が座敷童の役のコントなのだが、そう言えばあれも面白かった。
 話はちと脱線したが、今のお笑い芸人を見れば間違いなくコントという表現媒体は廃れているということは見て取れる。変な事を言うか、変な事をする……その一発しか持たない人間の集まりである。一発屋はよく言ったものである。
 コントというものは前述したが、ユーモアを有した表現媒体であり、受け手に与えるものは笑いである。ジュニアはただ、昨今のお笑いではあまりメジャーではないブラックユーモアを主としたコントを作っただけである。これだけのことで評価されないというのは、これは受け手の人間にも問題があるといえないだろうか? 何もテレビを見て笑みをこぼすか否かに神経をとがらせろと言いたい訳ではないが、もしかすれば私たちは見ず知らずのブラウン管の向こうにいる芸人に愛想笑いをすることが多くなったのではないか? と言いたいのだ。

 昔、何かの本で島田荘司先生が、ミステリ読者は少し買い控えというか不買運動めいたことをしなければこれから生まれてくる才能ある新進気鋭の推理作家も出版社の使い捨てにされる……みたいなことを書いてらっしゃった気がしたが、我々ミステリ好きも少し気を引き締めて本屋を歩かねば、「ダンボ君」で笑えない人間になってしまうんじゃないだろうか?
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福田 文庫(フクダ ブンコ)
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1984/06/25
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 24歳、独身。人形のゴジラと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。
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